北海タイムス1923年9月10日
【記事画像は山田昭次編『朝鮮人虐殺関連新聞報道史料』緑蔭書房から】
不逞鮮人の暴挙は風説乎(か)
左様な事実は絶対にないと南谷検事正談
【福島経由青森九日発電】
(南谷東京地裁検事正談)今回の東京大地震に対し、不逞鮮人が帝都に跋扈(ばっこ)しつゝありとの風説に対し、当局に於いても相当警戒調査し居るが、右は流言蜚語が行はれ居るのみである。
七日夕刻まで左様なる事実は絶対にない。もちろん鮮人中にも不良の徒もあるから警視庁に検束し厳重取調を行つて居るが、或は常習の窃盗乃至其他の犯罪人を出すとも、流言の様な犯罪は絶対に無いと信ずる。
解説 ◎
南谷検事正は東京地裁管区で自警団事件の捜査に当っていた人物。治安当局が流言が虚説であることを認識するに至り、6日以降、流言と自警団をはっきりと抑制していく方向に転換したことを反映したコメント。