読売新聞1923年11月10日
【記事画像は山田昭次編『朝鮮人虐殺関連新聞報道史料』緑蔭書房から】
放火した自警団員
功績を認めた貰ふつもりで
解説◎
自警団をはじめ、日本人が放火を行って逮捕された記事は、このほかにも散見される。
功績を認めた貰ふつもりで
自警団員として功績を認めてもらひたいため放火した男がある。
本郷コマ姥目蓬莱町一六赤城一郎(一八)で、同人は去る六日午前三時半頃夜警中同町五菓子商小室寅造方の軒下に空俵(からだわら)をたてかけて放火し、燃え上がると火事だ火事だと大声をあげて消し止め、自分のてがらにするつもりのところ発火原因の不審から悪事が露見したもので、九日朝、検事局へ送られた。
注)読みやすさを考慮して改行を追加しています。
自警団をはじめ、日本人が放火を行って逮捕された記事は、このほかにも散見される。
警視庁『大正大震火災誌』によれば、警視庁管内だけで9月中に25件の放火があった。前年同期の5倍であるという。この25件の火災について同書は、「災後の人心の動揺と警戒の不備とに乗じ、平素の怨恨を晴さんとするものを以て其の多数を占め、其他或は悪戯」が多かったと書いており、政治的、組織的な犯行は認めていない。