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2014年10月1日水曜日

「噂はデマとわかって帰宅し、二日ぶりに食事にありついた」


小林三谷樹(品川区大井山中町住民)

翌二日、朝昼兼用の食事の準備を終えたとき、井戸に毒薬を入れた者がいるとの騒ぎで、食事を中止せざるを得なかった。
『横浜に暴動が起こった』『暴徒が川崎、大森あたりまで襲って来た』
『このあたりは今夜が危ない。早く分散して逃げたほうがよい』
このように噂が乱れ飛び、近所の人たちと現在の二葉町へ避難し、旧家の庭で野宿をした。ランニング一枚の肩は蚊に襲われ、また夜半の冷気はまったく無情なものだった。
翌三日になって、噂はデマとわかって帰宅し、二日ぶりに食事にありついた。

(品川区『大地震に生きる 関東大震災体験記集』1978年)