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2014年9月5日金曜日

警視庁『大正大震火災誌』第五章 治安維持 第一節


警視庁『大正大震火災誌』第五章 治安維持 第一節
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震火災に依りて、多大の不安に襲はれたる民衆は、殆ど同時に、又流言蜚語に依りて戦慄すべき恐怖を感じたり。
大震の再来、海嘯の来襲、鮮人の暴動などと言えるもの即ちそれなり。
大震海嘯の流言は、深き印象を民衆に与ふる程の力を有せざりと雖も、鮮人暴動の蜚語に至りては、忽ち四方に伝播して流布の範囲亦頗る広く、且民衆の大多数は概ね有り得るべき事なりとして之を信用せしかば○に震火災より免れたる、生命、財産の安全を確保せんが為に、期せずして、各々自警団を組織し、不逞者を撃滅すべしとの標語の下に鮮人に対して猛烈なる迫害を加え、勢の激する所、終に同胞を殺傷し、軍隊警察に反抗するの惨劇を生じ、帝都の秩序将に紊乱せんとす。而して、之が為に、罹災地の警戒及び避難者の救護上に非常なる障碍を生じたるのみならず、延て朝鮮統治上に及ぼしたる影響も亦甚だ多く、誠に聖代の一大恨事たり。
(原文カナ・読みやすさを考慮して句点ごとに改行しています)

解説◎
大正大震火災誌』は関東大震災時の警視庁の行動をまとめた報告で、1925年に刊行された。
引用箇所は治安維持を扱った第5章の冒頭に置かれた総括的な一文で、このあと、流言飛語の取締りや朝鮮人の保護、自警団…といった内容が続く。
大正大震火災誌』は国立国会図書館近代デジタルライブラリーに収められ、ネット上で閲覧できる。